弁護士髙橋鉄平の法律相談ブログ|新宿御苑

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離婚の種類(協議・調停・審判・裁判)とそれぞれの流れ


1 はじめに – 離婚するには?

あなたが、離婚したいと思ったとします。さて、何をすれば良いのでしょうか?

多くの方は、

相手に対して離婚したいという意思を伝える
→ 離婚届にサインをしてもらう
→ その離婚届を役所に持っていく

という方法を思いつくでしょう。

これが、最も一般的な離婚方法である「協議離婚」です。しかし、離婚の方法はこれだけではありません。

日本における離婚の方法としては、

① 協議離婚
② 調停離婚
③ 審判離婚
④ 裁判離婚

の4つがあります。

今回は、それぞれの離婚の流れや特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。

2 ① 協議離婚

協議離婚は、日本の離婚の約9割(厚労省「令和4年度 離婚に関する統計の概況」より)を占める、最も一般的な離婚方法です。

民法も、協議離婚について、「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。」(同法763条)と定めており、夫婦は、その協議(話合い)によって離婚の合意をするとともに、戸籍法に基づく届出(離婚届の提出)をすることにより、離婚をすることができます(民法764条、739条、戸籍法76条)。

協議離婚をする場合には、離婚届を提出する前に、【離婚協議書】を作成しておくことが望ましいです。

ここで、離婚条件(親権・養育費・財産分与等の条件)について十分に話合いを行うことで、離婚後の争いを避けることができます。

さらに、相手が養育費や財産分与の支払いをしてくれるかどうか不安が残る場合には、【公正証書】を作成するといいでしょう。

離婚協議書の内容について公正証書を作成しておくことで、相手が支払いを怠った場合に強制執行を行うことが可能となります。

メリット

・比較的早く離婚できる。

・当時者のみで行う場合、費用がかからない。

デメリット

・相手方の合意が必要である。

・当事者のみで行う場合、離婚条件について後に争いになるおそれがある。

3 ② 調停離婚

協議離婚が難しい場合には、調停離婚という方法を採ることになります。

調停の申立ては、「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」又は「当事者が合意した家庭裁判所」に申立書を提出する方法によって行います(家事事件手続法245条1項)。

そして、調停は通常、裁判官1人及び家事調停委員2人(男女各1名)からなる調停委員会が夫婦の間に入り、交互に話を聞く方法によって行われます(同法247条、248条)。

もっとも、調停はあくまで夫婦間の話合いによる解決を目的とするものなので、相手の合意が必要となるのは協議離婚と同様です。夫婦間に調停離婚の合意が成立した場合、調停調書が作成され、離婚の効力が生じます(同法268条1項)。

メリット

・中立な第三者(調停委員)を介することで、より合意が得られやすい。

・調停調書の効力により、将来の紛争を予防できる。

デメリット

・協議離婚と比べて時間がかかる(数か月~半年以上)

・裁判所に行く必要がある上、申立費用や弁護士費用がかかる。

4 ③ 審判離婚

家庭裁判所は、②調停離婚が成立しない場合において相当と認めるときは、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のために必要な審判をすることができ(同法284条1項)、この方法による離婚を審判離婚といいます。

審判離婚は、離婚条件の一部に争いが残っており調停成立には至らないものの、離婚自体には双方同意しているというような限定的な場合に行われるものであり、実務上利用されるケースはまれです。

通常、離婚調停が不成立となった場合には、離婚請求訴訟を提起して、④裁判離婚を目指すことになります。

5 ④ 裁判離婚

裁判離婚(判決離婚)とは、家庭裁判所に訴訟を提起し、裁判官から判決をもらうことによって、離婚の可否や離婚条件を決めることをいいます。

そして、日本においては、配偶者と離婚をしたい場合にいきなりこの離婚訴訟を提起することはできず、先に調停の申立てを経なければならないという制度になっております(調停前置主義。同法257条1項、244条)。

これは、離婚は、判決ではなくなるべく当事者間の合意によって柔軟に解決することが望ましいという考え方や、離婚を含む家庭に関する紛争はプライバシー性が高いため、公開の裁判手続ではなく、非公開の調停手続で行うべきという考え方からきています。

したがって、離婚訴訟は、協議・調停・審判によって解決ができなかった場合に、いわば最後の手段として提起されるものといえ、その割合は離婚全体の1%程度(厚労省統計)にとどまっています。

また、離婚訴訟において離婚が認められるためには、法定の離婚原因(民法770条1項各号)があり、かつ、それを立証できなければなりません。そして、離婚原因の主張・立証に際しては、通常、一定の困難が伴いますので、通常、離婚訴訟は、弁護士に委任した上で、訴訟を提起・追行する方が多いです(一方、協議・調停離婚の交渉は話合いであることから、弁護士を介さずに行う方も一定数おられます。)。

メリット

・判決により、終局的な解決ができる。

デメリット

・離婚原因(民法770条1項各号)が必要である。

・時間がかかる(平均1年以上)

・訴訟費用、弁護士費用がかかる。

6 各手続の比較

以上を踏まえて、4種類の離婚を比較すると次のようになります。

離婚の種類成立方法効力発生日メリットデメリット
① 協議離婚夫婦間の協議離婚届の提出日費用が安い・早い合意が必要、のちに紛争になるおそれ
② 調停離婚調停における協議調停成立日中立な第三者が介入協議離婚より時間・費用が増える
③ 審判離婚家庭裁判所の審判審判の確定日調停に近い形で成立利用例は稀
④ 裁判離婚家庭裁判所の判決判決の確定日裁判所による終局的解決(合意が不要)離婚原因が必要、費用・時間・精神的負担が大きい

7 まとめ

以上より、離婚には 協議・調停・審判・裁判 の4種類があり、どの手続を選ぶかで様々なメリット・デメリットがあります。

離婚を検討している方は、早い段階で専門家に相談し、適切な手続選択と準備を進めることが大切です。

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